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by delizenkoku やべーさいと
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真(ま)っ黒々(くろくろ)の唐金(からかね)のお釈迦様でした。
「みなさん、私はいろいろな人から拝まれて、いろいろなおそなえものやお賽銭をたくさんいただきます。しかし私を拝んだり、いろいろなものを供えたりする人は、みんな欲ばりばかりで、私にすこしばかりのものをくれて、大変な幸福ばかり祈りますから、私は知らん顔をしております。しかし毎年四月八日の私の誕生日になると、子供たちが大勢来て、私の頭の上を花で飾って、頭から甘茶をかけてお祝いをしてくれます。私はこんなに親切に可愛がってもらうと、うれしくてうれしくてたまりません。私は欲ばりの大人に拝まれるよりも、こんなに親切な子供達に可愛がられる方がよっぽどうれしゅう御座います」 皆はパチパチと手をたたいて、お釈迦様の演説に感心をしました。 その次にはイエス様が立ち上って演説をしました。 「私もお釈迦様と同じように誕生日(クリスマス)には子供たちに可愛がられます。しかし困った事には日本の子供は、私の誕生日を祝うことよりも私の家来のサンタクローズにいろいろのものを貰う方を楽しみにするようです。又も一つ困った事には、クリスマスの日には子供より大人の方が夢中になって、クリスマスツリーを飾ったり、クリスマスプレゼントを遣ったり貰ったりしますが、そのためによく子供の方がお留守になって、クリスマスの日になると、『うるさいからあっちへ行っていらっしゃい』なぞと叱られる事があります。私は可哀そうで可哀そうでたまりません。ふだん大人は忙しくてゆっくり子供と遊ばれぬ事が多いのです。しかしクリスマスの日だけは子供の日ですから、大人の人は一生懸命になって子供を喜ばすようにしてやって頂きたいと思います」 皆は又も手を拍(う)って賛成しました。
たちはだんだん玉雄と照子の方へ近付いて来て、二人のまわりをくるくるまわりながら、白い大きな蝶のように美しく踊りまわりました。
そのうちに大勢の舞姫は踊りながらだんだん二人へ近寄って来て、手に手に二人を舁(かつ)ぎ上げたと思うと、そのまま踊りをやめて雪の塔の中へ連れ込みました。 雪の塔の中はどんなにか寒いだろうと玉雄は思っていましたが、まるで違って春のように暖かです。舞い姫たちは二人を軽々と舁(かつ)ぎ上げたまま、梯子段(はしごだん)をだんだん上に昇って行きます。 第一の室は青い光りに満ち満ちておりました。第二の室は赤い光りで照らされています。第三は紫、第四は黄色とだんだん上へ上って行って、とうとう真っ白い光りが真昼のように満ち満ちている一番高い大広間に来て、床の上に降されました。 ここまで来るうちに二人ともすっかりあたたまって、着物まで乾いてしまいましたので、二人は床の上に下されると、唯驚いてしまってあたりをキョロキョロ見まわしました。 兄も妹も雪の塔の大きいのに驚きました。四方の壁も天井も床も銀のように輝いていて、大広間の天井や隅々には四季の花が眩(まばゆ)い位美しく咲いて、室の真中に天井から吊りさがった青白いランプの光りで照らされています。 ランプのまわりには餅花(もちばな)や羽子板、ゴム鞠、運動具、おもちゃの船、車などが一パイに吊され、どれを見ても欲しくない物は一つもありません。 室の正面には黄金のお太陽(ひ)様(さま)と白金(しろがね)のお月様を祭ってあります。その前には、鉄の冠を戴いて、白い顔に黒い髯(ひげ)を勢(いきおい)よく生やし、紺青(こんじょう)の着物を着た立派な冬の男神(おがみ)と、緑色の髪に花の冠を戴いて、桃色の長い着物を着た春の女神とが座わっています。その左右にはお釈迦様、イエス様、七福神、達磨(だるま)さん、鍾馗(しょうき)大臣、サンタクローズ、桃太郎、金太郎、花咲爺、乙姫様や浦島太郎、熊、鹿、猪や兎なぞいう獣(けもの)や鳥やお魚や山水天狗、つるまむし、へのへのもへしなぞいうおなじみの連中が四方へずらりと居流れて、今宴会の最中でしたが、玉雄と照子の兄妹(きょうだい)が這入って来ると、皆万歳と言って歓迎をして、二人を正面の冬の男神と春の女神の前に座らせました。 二人は今までお話しには聞いていましたが、まさかこんなものが本当にいようとは思わなかったので、何とあいさつしてよいやら、只胸をドキドキさして、顔を真赤にしてお辞儀をして座りました。 二人がここで頂いた御馳走は、何が何だかわからぬ位沢山で、丁度お腹は空いていたし、そのお美味(いし)かった事、頬ぺたも落ちそうで、あとから出たお菓子や果物までも一つ残さず食べてしまいました。 御馳走が済むと五分間演説が初まりました。
たちはだんだん玉雄と照子の方へ近付いて来て、二人のまわりをくるくるまわりながら、白い大きな蝶のように美しく踊りまわりました。
そのうちに大勢の舞姫は踊りながらだんだん二人へ近寄って来て、手に手に二人を舁(かつ)ぎ上げたと思うと、そのまま踊りをやめて雪の塔の中へ連れ込みました。 雪の塔の中はどんなにか寒いだろうと玉雄は思っていましたが、まるで違って春のように暖かです。舞い姫たちは二人を軽々と舁(かつ)ぎ上げたまま、梯子段(はしごだん)をだんだん上に昇って行きます。 第一の室は青い光りに満ち満ちておりました。第二の室は赤い光りで照らされています。第三は紫、第四は黄色とだんだん上へ上って行って、とうとう真っ白い光りが真昼のように満ち満ちている一番高い大広間に来て、床の上に降されました。 ここまで来るうちに二人ともすっかりあたたまって、着物まで乾いてしまいましたので、二人は床の上に下されると、唯驚いてしまってあたりをキョロキョロ見まわしました。 兄も妹も雪の塔の大きいのに驚きました。四方の壁も天井も床も銀のように輝いていて、大広間の天井や隅々には四季の花が眩(まばゆ)い位美しく咲いて、室の真中に天井から吊りさがった青白いランプの光りで照らされています。 ランプのまわりには餅花(もちばな)や羽子板、ゴム鞠、運動具、おもちゃの船、車などが一パイに吊され、どれを見ても欲しくない物は一つもありません。 室の正面には黄金のお太陽(ひ)様(さま)と白金(しろがね)のお月様を祭ってあります。その前には、鉄の冠を戴いて、白い顔に黒い髯(ひげ)を勢(いきおい)よく生やし、紺青(こんじょう)の着物を着た立派な冬の男神(おがみ)と、緑色の髪に花の冠を戴いて、桃色の長い着物を着た春の女神とが座わっています。その左右にはお釈迦様、イエス様、七福神、達磨(だるま)さん、鍾馗(しょうき)大臣、サンタクローズ、桃太郎、金太郎、花咲爺、乙姫様や浦島太郎、熊、鹿、猪や兎なぞいう獣(けもの)や鳥やお魚や山水天狗、つるまむし、へのへのもへしなぞいうおなじみの連中が四方へずらりと居流れて、今宴会の最中でしたが、玉雄と照子の兄妹(きょうだい)が這入って来ると、皆万歳と言って歓迎をして、二人を正面の冬の男神と春の女神の前に座らせました。 二人は今までお話しには聞いていましたが、まさかこんなものが本当にいようとは思わなかったので、何とあいさつしてよいやら、只胸をドキドキさして、顔を真赤にしてお辞儀をして座りました。 二人がここで頂いた御馳走は、何が何だかわからぬ位沢山で、丁度お腹は空いていたし、そのお美味(いし)かった事、頬ぺたも落ちそうで、あとから出たお菓子や果物までも一つ残さず食べてしまいました。 御馳走が済むと五分間演説が初まりました。
ふれふれ雪よ 冬はおわる
ふれふれ真白に ふり積れ雪よ 吹け吹け風よ 吹き巻け風よ 一夜のうちに 雪の塔を作れ 冬と春とが わかれを告げる 名残のかたみ 雪の塔をつくれ 冬は行く 春は来る ふれふれ 雪よ 春は来る 冬は行く 吹け吹け 風よ ふれふれ 吹け吹け 吹き渦 巻いて 天まで遠く 雪の塔を作れ 世界の人も 獣(けもの)も鳥も 野山の草木も 気づかぬうちに 旭(あさひ)の光りが 照らさぬうちに 一夜で出来て 一夜で消える 高い高い 白い白い 水晶のような 雪の塔を作れ」
こんな塔が立っているのを一度も見た事がありませんでした。夢ではないかと眼をこすって見ましたが、矢張(やは)り本当に雪の中に立っているようです。玉雄は急に照子の肩をゆすって、
「照ちゃん、御覧よ。ホラあんな高い塔が……あれ、窓から美しい光がさして……さあ早く行きましょうよ、あそこまで」 けれども可哀そうに照子はもう死んだように横になって、只ぼんやり玉雄の顔を見ているばかりでした。 玉雄は一生懸命で照子を抱え起して、やっと背中に背負い上げて、膝まで来る雪の中を一足一足塔の方へ近寄りましたが、すぐ近くに見える塔がなかなか遠くて、いくら歩いても近寄られません。そのうちに玉雄は力が尽きて、 「助けて下さい」 と一声高く叫ぶと、そのまま照子と一所に雪の中に打ち倒れて了(しま)いました。 その声が聞こえたのかどうだかはわかりませんが、玉雄がたおれると間もなく、向うの白い高い塔の一番下の処の入り口が開いて、そこから大勢の人が出て来ました。見ると、それはどれもこれも身体(からだ)に薄い白い着物たった一枚着た若いお姫様のような人ばかりで、素足で雪の中を舞い踊りながら吹きまわる嵐につれて歌をうたっています。 < 前のページ次のページ >
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